人手不足の解消なるか。テクノロジーが店舗商品を管理する3つの事例

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人手不足の解消なるか。テクノロジーが店舗商品を管理する3つの事例

Text : 多良 はじき / Editor : 佐々木将史

店舗における労働力不足が、経営に深刻な影響を与えている。

「東京商工リサーチ」の調査によれば、全国の「人手不足」関連の倒産は2016年に326件、2017年にも317件が発生。企業活動を困難にしていることが伺える。

東京商工リサーチ」より

また、帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2018年10月)」によれば、非正職員の不足を感じている業種の1位が「飲食店」(全体の84.4%)、2位が「飲食料品小売店」(56.3%)となっており、接客や小売店舗での労働力不足が顕著だ。

この問題を解決するツールとして注目を集めているのが、AIを搭載したロボットやカメラによる省力化である。今回の記事では、実際に国内外で店舗運営に導入されたツールを3つ紹介する。

1.陳列棚管理ロボットが、欠品や配置間違えチェックを実現したWalmart

米国のスーパー大手企業であるWalmart(ウォルマート)は2018年、Bossa Nova Robotics(ボサ・ノバ・ロボティックス)によって開発された陳列棚管理ロボットを全国50店舗に導入した。

BUSINESS INSIDER」より

このロボットは完全自律型で、店内の陳列棚をスキャンし、品切れや陳列の不備をチェックしていくという。また、店舗側の価格表示や商品ラベルの誤りも検知が可能だ。継続的に店の通路を行き来し、問題があれば従業員に対して警告を発する。

Walmart社の副社長John Crecelius氏によれば、ロボットの導入によって、従業員が棚の在庫管理をする必要がなくなり、顧客サービスの改善に時間を充てられるようになったという。

2.RFIDタグで棚卸の簡略化を図るパルコ

同様の試みは日本でも行われている。株式会社パルコは、日本ユニシス株式会社、08ワークス株式会社と共同で、商業施設・小売店などでの業務に特化した自走ロボット「Siriusbot(シリウスボット)」を開発。2017年10月に池袋PARCO本館5階、2018年5月には名古屋PARCO2階において、棚卸の実証実験を行った。

ある店舗では、Siriusbotは店内にあった約400点の商品のうち、数十秒で6割強の在庫を確認したという

Siriusbotによる棚卸でカギとなる技術が、RFID(radio frequencyradio identifier)と呼ばれる無線通信技術に対応した電子タグである。一見は紙タグと同じなのだが、商品に取り付けることで離れた場所からでも情報を読み取れる。

Siriusbot上部のアンテナは、このRFIDタグをスキャンし、商品の欠品集計を瞬時に行うのだ。

また、同ロボットには、顧客向けの音声・画面案内の機能も搭載されている。ショップに関する情報を音声で検索できるとともに、一緒に走行しての案内も可能。名古屋の実験では、フロアに設置したAmazon Echoと連動させ、アシストが必要な顧客に対して別の場所にいるSiriusbotを呼び出すサービスも提供している。

これらの実証実験からは、従業員の負荷を軽減しながら顧客体験の向上を狙うパルコの戦略が伺える。高まりつつあるインバウンド需要で商機を逃さないためにも、企業にとってはいかに少ない人員で生産性を高めるかが重要だ。

3.AIカメラの導入で欠品・補充業務を削減したトライアルカンパニー

店頭の商品を管理する方法として、AIを搭載したカメラの導入を進めている企業もある。

2018年2月、福岡県に本社を置く株式会社トライアルカンパニーが、24時間営業のスーパー「トライアル アイランドシティ店」をオープンした。店舗の天井に、パナソニック株式会社、日本電子決済推進機構と開発したスマートカメラを設置し、商品単位で画像を取得。商品棚の陳列状態と、その変化を可視化させている。

同年12月には、このカメラの配備も含め、最新のリテールテックを導入した「トライアル Quick 大野城店」も開店させた。

トライアルカンパニーはスマートカメラの技術により、それまで従業員が目視で行っていた欠品チェックを自動化。さらに、AIが自ら発注管理までもできるようにしたことで、業務の削減を実現した。

こうした画像認識の技術は海外でも積極的に開発されており、すでに人間と同等の精度にまで高まっている。たとえば、中国AI企業のMalong社がリリースした「Product AI(プロダクト・エーアイ)」を小売店舗で導入すれば、顧客が手に取った商品や棚に戻した商品も自動で判別できる。カメラの認識と顧客の購買を紐づけることで、陳列棚の管理だけでなく、無人決済への応用も実現が近づいている。

ツールを活用し、人手不足の解消へ

Siriusbotやスマートカメラのように、店舗での商品管理をツールに任せることで、人手不足を解決するひとつの糸口が見えつつある。

省力化は、AIの導入だけが手段ではない。Walmartは、スマホとの連動で事前に注文を受けた商品の受け渡しを無人化する「ピックアップタワー」の設置を開始。2018年内に700店舗へ拡大させるとしている。

BUSINESS INSIDER」より

Walmartは現在、同様のピックアップシステムで、冷凍庫と冷蔵庫を備えた機械のテストも行っているという。顧客の利便性が伴えば、こうした取り組みは日本でも普及する可能性はあるだろう。

テクノロジーを活用した実店舗が増えれば、業務の自動化・省略化が進むことになる。労働力不足を過去の問題にするには、これからもトライアンドエラーが欠かせない。

1979年生まれ。愛知県在住フリーライター。短大卒業後、中小企業に17年勤めながら趣味でブログをスタート。趣味のブログがキッカケで、ライター業を始める。 現在、数々の媒体でコラムなどを執筆のほか、中小企業のコピーライティング、プレスリリース、地域のボランティア活動等にも携わる。主な執筆領域は恋愛、婚活、健康、心理、マネーなど。 (ブログ)貢ぐは馬鹿だが幸である http://mikumayutan32.hatenablog.com/ (Twitter)@mikumayutan

多良 はじき

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