QRコード決済とは?最新の動向を踏まえ、仕組みや導入のメリットを紹介

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QRコード決済とは?最新の動向を踏まえ、仕組みや導入のメリットを紹介

Text : 江原ニーナ / Editor : 佐々木将史

キャッシュレス決済が盛り上がりを見せている。従来のクレジットカードや交通系ICカードだけでなく、それらと紐づいた注文・決済アプリが次々と登場するなど、多様な支払い方法を店舗でも見かけるようになってきた。

これらの中でも、手軽に導入しやすいと言われるのが「QRコード決済」だ。本記事では、QRコード決済の仕組みを解説するとともに、各種サービスの比較や導入のメリットを探る。

「QRコード決済」2つの種類と、支払いの手順

QRコード決済は、「顧客のスマートフォン」または「店舗の専用機械」を使ってQRコードを読み取り、支払いを発生させる方法だ。顧客は、決済サービスに紐づけたクレジットカードや、事前にチャージした電子マネーなどで代金を払う。

支払いの際に、顧客側と店舗側のどちらがコードを読み取るかによって、QRコード決済は「ユーザー読み取り方式」と「店舗読み取り方式」の2つに分けられる。いずれの方法でも、使用するアプリを顧客のスマートフォンにインストールしておく必要がある。

ユーザー読み取り方式

この方式では、顧客が支払いの際に利用する決済サービス名を店員に伝え、店舗側はタブレットまたは紙などに印刷したQRコードを示す。それを顧客が専用アプリで読み取り、支払いを行う。

店舗読み取り方式

店舗読み取り方式と同様、最初に利用するサービス名を伝えるが、顧客は起動させたアプリ上に、自分でQRコードを表示。店舗側がタブレットのカメラやレジのスキャナーでそれを読み取れば、決済が完了する。

店舗側にとっては、この店舗読み取り方式であれば、タブレットやスマートフォンなどの汎用性の高いモバイル端末、あるいは既存レジのバーコードリーダーさえあれば利用が始められる。また、端末にダウンロードしたソフトを通じて、決済以外の業務効率化にも繋げられるものが多い。

ユーザー読み取り方式は、もっと手軽だ。店舗側はQRコードを準備するだけで済む。最初から印字してレジに置いておくこともでき、この場合はタブレットも必要ない。

今、QRコード決済に注目が集まる理由とは

経済産業省は、2018年に発表した「キャッシュレス・ビジョン」の中で、2025年までに日本国内のキャッシュレス決済の比率を4割程度に引き上げる目標を立てている。だが、店舗におけるキャッシュレス化はなかなか進まなかった。

導入を阻んできたのが、設備への初期費用や手数料の高さだ。クレジットカードや電子マネーの読み取り機器のコストや、店舗側が負担する運用コストの存在は、店舗がキャッシュレスを進めるインセンティブを奪ってきた。

それらの負担を軽減する手段として、注目が集まっているのがQRコード決済である。QRコード決済は、従来の専用端末に比べて金銭的な負担は少ない。また、顧客のスマートフォンも専用アプリをダウンロードできるものであれば、機種に依存しないというメリットがある。

総務省によれば、日本国内におけるスマートフォンの普及率は2017年時点で約75%にのぼっている。ガラケーと呼ばれる従来の携帯電話に比べると機能性が高く、多くの人が常に持ち歩くようになったことで、スマートフォンを活用した新たなサービスが続々と登場。キャッシュレス決済も、その一つである。

このキャッシュレス化は世界的な時流だが、先進国といえば中国だ。経済産業省によると、中国では2015年にキャッシュレス比率が60%を超えている。さらに、2016年に中国都市部の消費者を対象に実施された調査で、「98.3%が過去3ヶ月間にモバイル決済を利用した」という回答結果を、日本銀行が報告している。

そんな中国で最も利用されている方法も、QRコードだ。QRを用いたオンライン決済プラットフォームの「Alipay」は、アクティブユーザー数がすでに7億人以上となっているという

スマートフォンの普及に勝機を見出す。QRコード決済サービスが続々登場中

2018年にICT総研が行った調査によれば、日本で最も利用されているQRコードの決済サービスは楽天株式会社が提供する「楽天ペイ」で、PayPay株式会社の「PayPay」と株式会社LINEの「LINE Pay」が後を追っている。 3つのサービスを順番に紹介していこう。

楽天ペイ

「楽天ペイ」ホームページより

楽天ペイは、店舗読み取り方式とユーザー読み取り方式の両方に対応したQRコード決済サービスだ。アパレルからレストランまで幅広い店舗に対応しており、多くのユーザーを有する。

楽天ペイを使えば、サービス上で還元されるポイントに加え、決済に楽天カードを紐づけておけば二重でポイント加算される。また、「楽天スーパーポイント」で利用をすることもできる。

顧客にとってのこうした特典を利用することで、店舗側も費用をかけずに楽天ユーザーへの集客戦略を打つことが可能だ。独自にポイント付与などのキャンペーンも行うことができる。決済ごとに手数料が3.24%または3.74%徴収されるが、タブレットなどの端末以外には導入費はかからない。

PayPay

「PayPay」ホームページより

100億円あげちゃうキャンペーン」で話題となったPayPayも、ユーザー読み取り方式を採用しているほか、店舗読み取り方式のバーコード決済にも対応している。

PayPay残高にチャージするには、Yahooウォレットの銀行口座、Yahooマネー、クレジットカードの3つの方法がある。いずれの方法でもPayPayで支払いをすると、「PayPayボーナス」という名の0.5%還元が受けられる。さらに、クレジットカードでチャージすれば、通常のカード利用の還元も受け取ることができる。

(参照:『よくわかる「PayPay」──これからの小売ビジネスを図解する(1)』)

同社は、期間限定で決済手数料や入金手数料が無料になるキャンペーンを行い、参入障壁の解消を試みている。期間終了後の手数料は未定だ。

LINE Pay

「LINE Pay」ホームページより

LINE Payは、ユーザー読み取り方式、通常の店舗読み取り方式に加え、「LINE Payカード」(プラスチックカード)も提供しており、ユーザーが申請すると送付される。2019年7月までは、同社のQRコード決済を利用するとポイント還元率が3.5〜5%に上乗せされるのも魅力だ。

また、店舗向けには2018年3月より2021年7月まで、決済手数料を0%に設定しており、手数料の負担が障壁となっていた店舗への導入を後押ししている。

QRコード決済はキャッシュレス決済推進の起爆剤となるか

本記事で紹介したサービスの以外にも、QRコード決済事業では各社がしのぎを削っている。「Origami Pay」「pring」「d払い」「Amazon Pay」「PAY ID」「pixiv PAY」「Smash Pay」「EPOS Pay」「&Pay」「atone」など、様々なサービスの登場は、国内におけるキャッシュレス化の普及の兆しとも考えられるだろう。

さらに、中国人観光者をターゲットに先のAlipayや「WeChat Pay」を導入する店舗も登場している。インバウンド観光客や2020年の東京五輪の開催に向けた集客戦略と相まって、さらにQRコード決済が浸透する可能性もある。

QRコード決済の事業者が、キャッシュレスを利用していない層にリーチするには、競合との差別化を図り、新規層に訴求する必要がある。新規顧客開拓のための戦略を磨くことは、店舗・顧客の双方にとってさらに便利で無駄のない決済体験に寄与していくかもしれない。