LIQUIDの“生体認証決済”を紹介。最先端の技術がもたらす店舗体験の可能性とは

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LIQUIDの“生体認証決済”を紹介。最先端の技術がもたらす店舗体験の可能性とは

Text : АIЯI / Editor : 佐々木将史

スマートフォンやパソコンなどの身近な電子端末だけでなく、銀行や店舗でも導入されている顔認証や指紋認証。株式会社LIQUIDは、それらの生体認証技術を応用したプロダクトを提供する企業だ。

画像解析と機械学習を利用したビックデータの解析技術をもとに、生体認証のアルゴリズムを独自に開発している同社。2018年7月には総額33億円の資金を調達し、新製品をはじめとする各サービスの開発体制を強化した。

ここではLIQUIDが提供する技術やサービスから、生体認証決済の可能性を探っていきたい。

顔や指紋を認証。LIQUIDが実現した決済サービスとは

LIQUIDは安全性が高く、処理の早い生体認証決済サービスなどを提供することで注目されている。

従来のシステムとの大きな違いは、クラウドを活用しているという点。クラウド上の膨大なデータベースから生体情報を照合するため、不特定多数が利用する店舗での決済シーンにも適しているといえる。

まずは、主な技術・サービスを3つ紹介しよう。

LIQUID eKYC

LIQUID eKYC」では、LIQUIDの画像処理技術を活かした顔データの真贋判定や、高精度な画像照合率で本人を確認する仕組みを実現。

LIQUID公式サイト LIQUID eKYCより

オンラインで本人確認を完結させることで、これまで必要だった書類配送が不要になり、銀行口座の即時開設などを可能にした。また、この確認業務における事務処理プロセスをシステムにより自動化することで、人為的ミスも減少させることができるという。

LIQUID Regi

タブレット端末にインストールして使うレジアプリ「LIQUID Regi」。クレジットカードなど各種決済が利用でき、2019年10月に導入される予定の軽減税率にも対応している。

特徴的なのは、LIQUID独自の指紋センサーや、決済システム「Liquid Pay」を追加できること。複製不可能な指紋による生体認証により、安全かつ便利な決済ができ、財布いらずの“手ぶら決済”が可能となる。

LIQUID公式サイト LIQUID Regiより

また、生体認証を利用した会員クーポンの発行機能なども備わっており、決済だけでなく集客においても活用することができる。

PASS

買い物時の決済だけでなく、イベントの入場やホテルのチェックインなどでの利用も想定したクラウド型本人認証・決済サービス「PASS」。指や顔から得られる生体情報を専用のセンサーやカメラで取得し、本人認証を行うことができる。

生体情報を暗号化してクラウドに保存するので、より安全な認証が可能だ。顧客は事前にWEBでアカウントを作成し、ユーザー情報や支払い情報を登録する。利用は無料だ。

LIQUIDの生体認証決済サービスを導入した実例

では、実際にLIQUIDの生体認証決済サービスを導入した実例を見てみよう。

ハウステンボスの独自通貨「テンボスコイン」

2015年10月にハウステンボスで、指紋認証式の決済システムLiquid Payを利用した「テンボス通貨」のテストが開始された。同園内で利用できる、独自の地域通貨である。

利用客は、入園前に生体認証の登録を行う。デポジット機能もあるLiquid Payで入金してもらい、財布やカードなしで楽しんでもらう仕組みだ。2016年4月から2018年10月にかけては、年間会員向けのプレミアムサービス「ハウステンボスマネー」として採用された。

さらに2018年6月には、分散型台帳ベースの独自デジタル通貨「テンボスコイン」の共同開発と、ハウステンボスのキャッシュレステーマパーク化の推進を発表。

LIQUIDは、このテンボスコインのシステム開発を担当している。PASSによるユーザーウォレットサービスの構築・運用や、LIQUID Regiなどリアル店舗に向けたノウハウを提供し、安全・便利・低コストなキャッシュレス決済基盤の実現を目指すとのことだ。

生体認証とRFIDによる「無人販売ショーケース」をパナソニックと共同開発

2019年2月1日、三菱地所大手町ビルにオープンした「Inspired.Lab」にて、パナソニック株式会社と共同で開発した「無人販売ショーケース」の実証実験が開始された。

無人販売ショーケースのイメージ

無人販売ショーケースには、LIQUIDの生体認証とパナソニックのRFID(radio frequency identifier)を使用。RFIDとは電波を用いて非接触でデータを読み書きするシステムで、無人販売ショーケースでは商品管理も一括して行う。決済にはPASSを使用しており、指紋認証により購入が完了する。

従来のセルフ形式のバーコード読み取りなど、購入者の手間が省けるだけでなく、クレジット決済時のパスワード漏洩や、カード紛失のリスクなどもなくすことができ、利便性の高い購買体験を得られるのが特徴だ。

生体認証付き自動販売機の一般販売を開始

また、直近では2019年2月12日、サンデン・リテールシステム株式会社と共同で開発した「生体認証付き自動販売機」も発売されている。

生体認証付き自動販売機のイメージ

この自動販売機では、生体認証により正確な本人確認を行うことで、アルコール飲料の販売をはじめ、ライブチケットや調剤薬品の受け取りなど、従来の自販機では販売できなかった商品の無人販売を想定している。

一般販売に先駆け、2019年2月13日〜15日に開催された「スーパーマーケットトレードショー」での展示が行われた。

生体認証技術がもたらす可能性は?

スマホ決済などキャッシュレス化の普及や無人店舗の登場に伴い、小売の現場で導入が検討されている生体認証決済。

店舗側の利点には、クレジットカードの不正使用防止などのセキュリティ向上や、レジ業務の効率化などが挙げられる。また、ポイントカードやクーポンの発行コスト削減にも繋がる。

もちろん生体認証決済は企業側だけでなく、顧客にとってもメリットが大きい。

生体認証決済が今後さらに普及すれば、お財布やポイントカードを持ち歩く必要がなくなり、まさに“手ぶら決済”が可能になる。クレジット決済時のパスワード管理や、カード紛失のリスク負担なども軽減することができるのだ。

法改正による影響は?いよいよ普及本格化か

こうした生体認証決済の普及には、法律の改正も関わってくる可能性が高い。そのひとつが、「犯罪収益移転防止法」だ。

同法律では、犯罪組織への資金供給を断つために、顧客が本人であることや取引目的などについて、金融機関などが確認を行わなければならない、と定められている。

これまで、オンライン上での金融取引を新しく始める場合、オンラインまたは郵送で「本人確認書類の写し」を提出し、記載された住所宛てに送られてくる「転送不要郵便物」を本人が受け取る必要があった。だが、2018年11月の法改正により、新たに次のような方法も採用されている。

1.写真付き本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送信を受ける方法(インターネット上のビデオ通話機能を利用した方法も可)

2.写真付き本人確認書類のICチップ情報と本人の容貌の画像の送信を受ける方法

3.1枚に限り発行される本人確認書類の画像またはICチップ情報の送信を受けるとともに、銀行などの預貯金取扱金融機関またはクレジットカード会社に本人特定事項を確認済であることを確認する方法

4.1枚に限り発行される本人確認書類の画像またはICチップ情報の送信を受けるとともに、本人特定事項を確認済の預貯金口座に金銭を振り込み、当該顧客から当該振込を特定するために必要な事項が記載されたインターネットバンキング画面の画像などの送付を受ける方法

<引用元:金融庁

実際にこの法改正が、記事前半でも紹介した、オンラインで本人確認を完結する「LIQUID eKYC」サービスの提供開始にも繋がった。

技術発展に伴い、今後もこうした法改正が行われれば、生体認証を利用したサービスが盛り上がっていく可能性は十分にあるだろう。

ファスト系メガネ屋での販売員として働いたのち、名古屋の某WEB会社に内勤ライターとして入社。現在は、名古屋の某企業グループ会社(ネット回線)/IDENTITY(IDENTITY名古屋・DooR)/名古屋の某WEB会社(金融系)など、フリーランスのライターとして従事。以前より雑貨屋・アクセサリー作家/大学生(建築系)/Web小説家/占い師としても活動しており、執筆領域は金融・テクノロジー・小売・ライフスタイルなど多岐に渡る。

АIЯI

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