よくわかる「IGTV」——これからの小売ビジネスを図解する(4)

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よくわかる「IGTV」——これからの小売ビジネスを図解する(4)

Text : ビジネス図解研究所:たかはし ひろみ / Editor : 吹原紗矢佳

IGTVは2018年6月にInstagramからリリースされた次世代型の動画共有サービスだ。

近頃、Instagramを活用する小売企業が増えている。2017年3月にはShopNowと呼ばれるショッピング機能もリリースされ、ビジネスへの活用を考える小売業者の注目を集めた。

企業が活用する法人向けアカウントは「ビジネスプロフィール」と呼ばれ、世界で2,500万件作成されており、Instagramによると1日に2億人がアクセスしている。

その環境下で、写真に加えて動画による商品訴求も期待値が高く、IGTV活用の道も探られている。今回はIGTVが小売業界の未来にどのように影響を及ぼすか、図解とともに解説していく。

IGTVは従来の動画共有サービスとは異なる新たな視聴体験を提供

IGTVには、YouTubeのように動画配信で得られる広告収入や、Instagramのフィード広告の配信で企業から利益を得るといった方法が今のところ存在していない。

ユーザーが動画の配信で利益を得るためには、インフルエンサーとして企業タイアップを行って広告費を狙うか、自社サービスに誘導して商品を販売するかのどちらかになる。

しかし、Instagramの創業者ケビン・シストロームは、IGTVの将来性について、動画クリエイターが広告収入を得られるような場となる可能性を示唆している

IGTVには動画を作成するための機能はなく、動画はPCからアップロードしなければならない。また、フォロワーの多いアカウントは最大60分までの動画を上げられるが、一般アカウントは10分までとなる。小売企業が使い分けをする場合、Instagramはお知らせや新商品情報など数秒で興味を持ってもらえる商品やサービス向け、一方IGTVはブランド訴求や認知度向上のために作り込まれた動画を上げることに適していると言える。

InstagramとIGTVのスムーズな導線

IGTVはInstagramアカウントがあれば誰でも利用できる。さらにInstagramのフォロー・フォロワーはそのまま引き継がれるため、InstagramのフォロワーがそのままIGTVのフォロワーになる。

IGTVリリース時点でのInstagramの月間ユニークユーザー数は10億人、YouTubeの月間ユニークユーザー数は19億人。YouTubeやその他の動画共有サービスにとってはは無視できない競合ができたことになる。

InstagramからIGTVには、ストーリーズやプロフィール、フィードを経由してアクセスできる。アプリを開くとすぐに動画の再生が始まるのも特徴だ。テレビをつけて見たいチャンネルを選ぶように、フリックでチャンネルを切り替えられるようになっている。

IGTVとショッピング機能

Instagramのビジネスアカウントには、フィード上の投稿に商品へのURLリンクを貼ることのできる「ショッピング機能(ShopNow)」がある。この機能はゆくゆくはIGTVにもつくのではないかと予想されている。今後、Instagramが動画コマースの中心となる可能性は大いにある。

動画コマースのメリットは、静止画に比べてより多くの情報を伝えることができる点にある。しかし、動画を最後まで閲覧するには時間がかかる。最初の数秒でいかに視聴者に興味を持ってもらえるかが分かれ道になってくる。今後は動画作成の専門部署を立ち上げたり、制作会社への依頼を行うなど、高いクオリティーの動画作成に向けた工夫が必要となってくるだろう。

ちなみに、動画配信をリアルタイムで行い商品を販売するライブコマースとの違いは、ライブコマースの場合「その場にいる」という臨場感が、販売促進の効果につながるというところにある。そのため商品を紹介する人も、インフルエンサーなど影響力や信頼のある人が適している。

現在のIGTVはユーザーにとって動画コンテンツを身近な存在にすることに意識を向けている。小売業者は現在InstagramやIGTVでブランディングやユーザーとのコミュニケーションを築いている最中だ。今後訪れるであろう動画コマースのもたらす変化に注目していきたい。

Eコマースのデザイン/開発をしています。ビジネス図解研究所所属。ビジネスとデザインの話が好き。社会人1年目に香水の会社にバイヤーとして入社、EC事業部に移動してECの楽しさを知る。Webデザイナー/コーダーを経験したのち、ファッションECに、現在は家具のサブスクECサイトに携わっています。

ビジネス図解研究所:たかはし ひろみ

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