小売からレジが消える?全ての既存店が無人決済を導入できる、AiFiのAI技術

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小売からレジが消える?全ての既存店が無人決済を導入できる、AiFiのAI技術

Text : おぐら まみ / Editor : 佐々木将史

オンラインで小売業界に大きな影響を及ぼしたAmazonが、実店舗へも手を伸ばし始めている。直営する食料品の実店舗「Amazon Go」は、レジいらずの無人決済を実現させ、2018年の小売業界で新たな象徴となった。2021年までに、展開する無人レジ店舗数を3,000以上にしていくという

しかし、革新的な顧客体験はAmazon Goでしか得られないのだろうか? いや、そうではない。無人決済を既存店舗でも可能にする数々の技術が実現しつつある。

今回は海外スタートアップの開発事例から、アメリカのAiFiを紹介しよう。

AIで「買い物を再定義する」

サンフランシスコに本社を置くAiFi社は、元Amazonのエンジニアが創業したスタートアップだ。公式サイトには大きく“Shopping. Redefined.”と掲げられている。

公式サイトより

AiFiが提供するのは、Amazon Goのようなレジ無し決済を既存店舗で実現するためのシステムおよびハードウェアだ。AIと最先端のコンピュータービジョンの技術によって、店舗に設置されたセンサーとカメラで顧客がどのように移動し、どういった商品を手に取ったか(もしくは戻したか)をリアルタイムで追跡できる。

顧客は入店時に、あらかじめダウンロードしておいた専用アプリをかざしてチェックインする。これによってシステムは顧客情報を認識し、カメラとセンサーによってトラッキングを開始する。

買い物客の行動は普段通りだ。たとえ商品を戻す場所を間違えても構わない。顧客だけでなく個別の商品も識別し、トラッキングしているからだ。

退店時にレジを通す必要は無く、決済はクレジットカードでシームレスに完了する。レシートは発行されないが、アプリ上に購入履歴が残る。顧客ごとの購入内容はもちろん、入退店時間などの情報も記録される。

レジ打ちにかかる人件費をカットできるだけでなく、AIは顧客のポーズや動きも解析しているため、それらを紐づけたデータを陳列の改善にも活用できるのだ。もちろん異常な行動を検出することも可能なので、これまでの防犯カメラよりもはるかに万引きの抑止力となるだろう。

あらゆる店舗で展開できるシステム

Amazon GoでもAiFiでも無人決済の購入体験は大きく変わらない。だが、システム導入に関しては異なる特徴がある。

最も大きな点は、Amazon Goが現状では小型店舗に限られるのに対し、AiFiは大規模店舗でも導入できることだ。フラッグシップストアの店舗面積は、Amazon Go(1号店:約167平方メートル)の3倍程度。さらに、50倍の面積の店舗へ導入するパイロットプロジェクトを推進中だという

機器を導入しやすいのも魅力的だ。AiFiはAmazon Goよりも少ないカメラ台数で済み、既存の監視カメラも利用可能。追加で導入するハードウェア類は高価だが、それも2019年には導入しやすい価格帯(AIセンサーやカメラモジュールを含む全体で100ドル以下)にすると計画されている

規模の大小に関わらず低コストで導入できるAiFiのシステムは、AI技術が実店舗へ広まる敷居を下げるだろう。創始者のSteve Gu氏はAiFiのネーミングについて「AIがWiFiのように広く普及し得ると信じている」と語り、レジ無し店舗が当たり前になる未来への意欲を感じさせる。

世界や日本でも広がっていくレジ無し店舗

無人決済システムを開発する海外企業はAmazonやAifi以外にも存在し、日本市場も視野に入れ始めている。

アメリカのStandard Cognitionは、2018年6月に東京オフィスを設立、10月にはドラッグストア「薬王堂」仙台泉館店(宮城県)での2019年実証開始が発表された。ソフトバンクが出資する中国のMalong Technologiesも日本支社を設け、画像認識を使った決済の実現を目指すという。どちらもAifi社と同様、開発しているのは既存店舗を無人レジ化する技術だ。

競争は進化を生み、進化は普及を助ける。国内でのAI技術によるレジ無し店舗の普及は目前なのかもしれない。